僕らの証明はどこにある

不器用で下手くそ それでも人生さ

うたプリ楽曲と一ノ瀬トキヤ

最近久しぶりに時々うたプリ先生の楽曲を聴いていますが、やっぱり推しの子*1とか発表時期とかいろいろ抜きにして曲のことだけを考えると、一ノ瀬トキヤ氏の楽曲はすごく面白いと思います。

 

うたプリ先生はプリンス各々に得意楽器っていう(緩いが頑なな)縛りがあるのがある種の特徴ですが、トキヤだけは得意楽器:ボーカルだからか、楽曲によってぜんぜんインストの音の種類が異なるのが楽しいんですよね。

だから曲によって全然違う、言ってしまえば別人レベルにまで異なるカラーになってるのが、CVの宮野氏の技量も相まってすごい面白いと思うのです。

今日はそんな一ノ瀬トキヤ楽曲が楽しいよっていうお話。

 

 

ソロ1発目、BELIEVE☆MY VOICEだと、シンセのイントロから始まってエレキのギターリフがグワッと入ってくる結構硬めのバックトラック。比較的コードもマイナー中心で渋め。

底抜けに明るく元気なHAYATOとの対比という部分もあるのでしょうが、一ノ瀬トキヤというキャラクターの分かりやすい部分に沿った、クールに締まっているカッコイイ系に振った曲だと思います。

アウトロまでエレキがバキバキなトキヤ楽曲って、多分これが最初で最後なんじゃないかな。HAYATOだけじゃなくて音也との対比もあるんでしょうが、最初であって、すごく異質。

 

 

それが一転、2曲目の星屑☆Shall we dance?なんて、初っ端淡く優しいピアノソロからのウィンドチャイム→ストリングス中心にアクセントでゴリゴリのホーンセクションなどという、ド王道のアイドルソングここに極めたり!!!みたいな…めちゃくちゃベタでキラッキラな作りをしてます。前曲とのギャップで落ちてここで死ぬ。

っていうか「お姫様 ねぇ Shall we dance?」ってなんだよ!ベタ惚れかよ!!と当時叫んだ記憶も懐かしいです。

前の曲で抱えてたカッコイイ系とはどこ?みたいなぶん投げ具合も好きですね。BPM132前後のマーチテンポなのも尚良し……わたしはキラッキラのド定番アイドルソング大好きマンなのでピンポイントで刺さります。節々に挟まるホーンセクションの音がまた気持ち良い。グリッサンドで落ちやがって!好き!!ってなるので聴いてみてください。

 

さらに進んで七色のコンパスはピアノのみのバックトラックから始まり、Aメロ手前で徐々にストリングスが入り始めますが、1番はそのままピアノとストリングのみで走りきって、2番からドラムとベースのリズム隊が入ってきて、バックトラックの厚みが増します。

歌、というよりボーカルのパンチに特に重きを置いて勝負する構成のバラードですが、比較的BPMは早めの112くらい。

でも大きく倍でテンポを取るようなメロディラインになってるから、倍の66程度でスローに聴かせてる楽曲になってる、と、思います。しっかり112の縦割りでテンポ取ってるの、大サビ手前の間奏くらいなんじゃないかな?

この曲はストーリー構成上とはいえ*2、初っ端がバックトラックなしの完璧アカペラなのが流石だと思います。宮野氏の技量があるからこそ成せる技。

 

 

My little little girlも基本的にはリズム隊を除けばピアノとストリングスで構成されているので、ここらへんからトキヤの定石はピアノ+ストリングスってラインが定まってきたなあと。

楽器の縛りなしのトキヤでも3〜4曲目になってくると方向性としてある程度の定石ができてくるのは、やはりキャライメージに沿ってということなのでしょうか?面白い。これはとても良い研究対象だと思うので、どなたかこれで一本論文書いてくださいお願いします。

ただこの曲はB☆MVの頃以来鳴りを潜めてたギターの音がAメロからそこそこしっかり鳴ってて、サビからグワッとストリングスっていう作りになってるのが面白いなあと思います。

BPMはそんなに早めではないです。90ちょいくらいのバラードテンポ。ちょいゆったりめ(所謂アンダンテ=歩く速度で)ってやつかと。

一緒に手を繋ぎながら歩いて帰る歌詞がありますもんね。こういうところも狙ってるのかなあと思うと、考えれば考えるほど奥が深いなあと思います……プロってすごい。

 

 

そして満を持してのCRYSTAL TIMEなのですが、ここでもやはりイントロはピアノソロ→ストリングス差し込みですね。定石は外さない。

ただしこの曲の特徴として、とにかく鳴ってるモノが多い!基本はピアノとストリングスがベースなのですが、とにかくシャンシャンカンカンなんか鳴ってる。ベル系とかトライアングルとかとか。

CRYSTAL TIMEは本当トライアングルとベルの為みたいな曲で、常にトライアングルが鳴ってて鐘の音が響いて鈴がシャンシャン言ってます。そうだったっけ?ってなった方はぜひ再生してみてください。マジでシャンシャンカンカン言ってるから。

だからこの曲が何よりキラキラしてるんだろうなあと思います。あとこの曲はAメロのギターのカッティングが肝だよ。多分あれがないと締まらないと思います。

系譜としては進化した星屑☆Shall we dance?だと思います。アップテンポでキラッキラな感じ。でもホーンセクションの差し込みでキラキラさせてたあちらとは異なって、鐘と鈴とトライアングルで物理的にもキラキラさせてきたのは面白いです(違う)

ちなみにこの曲、トキヤ楽曲の中でも特に音域が高めです。トキヤ楽曲は比較的サビで高音に上がりがちな傾向はありますが、この曲はサビでの上がり具合が結構シビアだから……Aメロの音域がそこまで低くないので、音域が上に広くないと歌うのが非常に難しいです。

 

 

independence dayは、楽曲として別ジャンルすぎて……だから一ノ瀬トキヤの楽曲って振り幅広くて楽しいですよねって話をしている……うん。

ピアノとかストリングとかそういう次元じゃなくて、どちゃくそゴリッゴリのEDMですよね。すごい。視聴で初めて聞いた時、本気で何が起きたかと思いました。いままで4〜5曲に渡って積み上げて来た定石見事に投げ捨てたというより、今まで特徴はあれど比較的王道の楽曲を歌い続けてきた「一ノ瀬トキヤ」が、アイドルとして果敢に攻めてきた結果、こんなものが出てくるのか!と思って……うたプリすげえなと舌を巻いた覚えがあります。

蛇足ですが、2000%ドルソンc/wって結構キャライメージから離れて冒険してる感じがするのが多くて*3、レンのFREEDOMとかも結構しっかりしたEDMで当時は慄いたものです。しかも那月のc/wは今までキャライメージより少し離れてた部分にあった、というより砂月に寄ってたものをあえて那月にしっかり沿わせてきたのが逆に楽しかったし、逆に真斗はA面が演歌だった分なのか、c/wのsanctuaryはきっちり王道の作りになってて面白いです。

2000%ドルソンはいいぞ。

 

 

私の憶測でしかないのですが、たぶんエレガはうたプリで型にはまった「アイドルソング(この場合のアイドルソングはCDシリーズの名称ではなくアイドルが歌う楽曲のテンプレートとしての意)」を作るつもりはおそらくなくて、個々のプリンスを『歌手』として見てるから、こういうアーティスティックな楽曲がポンポン出てくるんだろうなあと思います。

彼らはアイドルである以前に歌手だから、ゴテゴテと装飾やテンプレートで着飾る必要って、きっとあんまりないんでしょうね。それがうたプリっていうジャンルの強みであり、最大の特長だと思います。

だからこそ、曲の安定感と説得力が強いのかなあと、ぼんやり思ったりしています。

 

 

 

*1:因みに筆者は一十木音也推しの来栖翔担です

*2:未視聴の方は伝説のアニメ1期(マジLOVE1000%)1話をぜひご覧ください

*3:音也のHORIZONとか、セシルのHappinessとか